40代、50代の膝痛の原因で圧倒的に多いのは変形性膝関節症です。
膝が痛くなる原因は大きく分けて3つあります。半月板が損傷している場合、軟骨が痛んでいる場合、筋肉や腱が問題を抱えている場合です。これらのうち、40代以降の方に圧倒的に多く見られる原因が膝軟骨の障害、つまり変形性膝関節症です。
変形性膝関節症とは
変形性膝関節症は、骨と骨の間に存在する軟骨が加齢によって摩耗することに端を発します。軟骨は関節を動かす時に生じる骨同士の摩擦や衝撃を緩和する役割を担っているのですが、長い年月をかけて徐々にすり減ってくるのです。その結果、関節内に炎症が生じて激しい痛みを感じるようになり、やがては骨そのものの変形もきたすようになります。
40代以降徐々に増加。中高年の約半数が該当
軟骨の磨耗(経年劣化)は40代ごろから顕著になります。しかも、膝は立つ、歩く、座るといった日常生活で頻繁に行う動作で重要な役割を担っているので、痛みや異変が気になりやすい部位でもあります。40〜50代以降、膝痛の原因の多くを変形性膝関節症が占めるようになるのは、こうした理由によります。
変形性膝関節症になりやすい人の特徴
変形性膝関節症は次のような人に起こりやすいと言われています。当てはまるという方は、今は痛みがなくても十分注意し、膝に負担のかからない生活を心がけてください。
【家族に変形性膝関節症の人がいる】
軟骨がすり減りやすい体質が遺伝していることがあります。
【日常的に重いものを持つ機会が多い】
重い荷物を持つと、それだけ膝にかかる負担は大きくなります。日常的に膝にかかる負担が大きいと、リスクは高くなります。
【切り返しやジャンプする動作が多いスポーツを行なっている】
具体的には、サッカー、バスケットボール、バレーボール、スキーなどです。これらのスポーツは膝に大きな負担がかかり、損傷を進行させる可能性があります。
【肥満】
膝にかかる負担は体重が増えるほど大きくなります。また、内臓脂肪が分泌するアディポサイトカインという物質が血流に乗って膝関節に届き、炎症を引き起こすこともわかっています。
【O脚がある/過去に膝関節を損傷したことがある】
O脚の膝は内側と外側でかかる圧力にばらつきがあります。強い力が加わる部分は軟骨の損傷が進行します。過去に半月板や靭帯などの関節組織を損傷したことがある場合も関節内の圧力が不均等となり、軟骨の損傷を加速させる可能性があります。
【女性】
女性ホルモンのエストロゲンには、骨、軟骨、筋肉を丈夫に保つ働きがあります。そのため、閉経後にエストロゲンの分泌量が急激に減少すると関節が損傷を受けやすくなります。
すぐに病院に行くべきかか、しばらくは様子見でOKか?
変形性膝関節症を放置すると、痛みのために活動量が減り、その結果筋力も低下し、さらに膝の痛みが増すという悪循環に陥ります。診断の結果がどうあれ、膝に違和感や痛みを感じる場合は早めに整形外科を受診してください。過去に受診したことがある場合も、症状に変化があれば再度受診されることをお勧めします。